ネジ落ちてますよ


「よ、ようやく終わった……」

 カラーリングが違うだけで同じ顔を見る作業も、ようやく終わる。は安堵しかけて、後ろから飛んでくる声に、結局その顔から逃れないという事実を思い知らされ絶望した。

「イケメンズの完成だ!」

 どんなネーミングセンスだよ、とは思わず突っ込みそうになって、やめた。いちいち突っ込んでいたらきりがないのだ。

「まあこのイケメンスタースクリーム様だけでも完成はできたけどな!」

 実際は彼から指示を受けて動いていただけだし、間違ったことは言っていない。ただ、ただとにかくうざったいのだ。は長々とため息を吐いた。

 しかし、相当な数のクローンだ。何に使うのだろう、と彼女がぼんやり眺めていると、スタースクリームはの肩を抱き、クローンズを見るよう促しながらドヤ顔で口を開いた。

「俺との愛の結晶だ」

 何言ってるのこのひと。はドン引きしながら本気で彼の思考回路を心配した。