『、「愛」とは何だ』 「い、いきなりどうしたの」 質問に対しはそう答えると「詩でも書くのか」と訊いてきたが無論そのような趣味はない。 『知りたい。ただそれだけだ』 感情というのは実に不可解なものである。その中でも愛だの好きだのといったものは難解だ。 「私の感覚としては……そばにいてあげたい、守ってあげたいなんて気持ちを相手に抱くこと、かな」 偶然に出会った人間ではあるが、は興味深い答えをくれる。感受性の強い、いわゆる「思春期」だからか。本人も俺のこういった問いに対して気分を害するなどということはないらしい。「むしろ楽しい」とも口にしていた。 『人間には必ず死が訪れるだろう。それなのになぜそのような感情を抱き、そばに置く人間を求めるのだ』 「好きになったらしょうがないんじゃないかな。その理由は探ろうとしても本人でさえ分からないんだし……」 何か身に覚えでもあるのかわずかに視線をそらすとは「なんでもない」と開きかけていた口を閉ざした。言いたくないなら仕方がない。 「もし『生きる』っていうのは自分の相手を見つけることだとすれば、『愛する』っていうことが丸ごと『生きる』という意味なのかもしれないね」 言っている本人が途中からよく分からなくなっているのか、首をかしげている。 しかし、その「愛」の成功率が低い場合はどうすればいいのか。それでも好きになってしまうのだから簡単には捨てきることはできない。死ねとでも言うのか。 『……次はいつ会える?』 「いつでも、ゼロワンが好きなときに」 その返答とやわらかい笑みを認識する度に心地よい気分になる。自然とを求めているのだろう。だが俺との関係はどうしようもない。 これ程までに悩むのなら「愛」という存在自体が消えてしまえばいい。そう思ってもう大分経つ。 |
どこで誰が創造したものなのか
2008/08/31