『三十七度五分』 ゼロワンが体温を測定するとはかすれた声を出した。 「迷惑かけてごめんね、ゼロワン」 『別にたいしたことではない』 朝起きて頭痛とのどの痛みで熱を測ってみれば案の定平熱よりも高かった。は学校を休むことになり、今ベッドで横になっている。原因は昨晩長いこと星を観ていたからことにあるだろうとゼロワンはほぼ確信していた。何せそれにずっとつきあっていたのは自分自身であったからだ。 「そこまで高熱じゃないから出て行っても大丈夫だよ」 実際、彼女の症状はそこまでひどいものではなく、階段を下りて水を飲みにいくようなこともできた。ゼロワンに迷惑をかけてしまうのも悪いと思っていたための発言であったが彼は『お前が出て行けと言うならそうするが』と言うのではあわててその言葉をさえぎった。 「その、そうじゃなくて……私はいてほしいんだけど」 どんどん声が小さくなっていったがそれはしっかり届いたらしく、ゼロワンは一笑するとこう言った。 『お前の心を受信した』 熱のせいか恥ずかしさからか、は顔を赤らめると頭までかけ布団をかぶった。 |